しど過去漫画のチラ裏話

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こんにちは、茂野です。
先日アップした紫藤聡市過去漫画『糸が切れた日』について
描いてる間に考えていたことや気に入っている部分など
つらつら書いてみようと思います。
喋りたがりが辛抱たまらんくなったので……。
あと商業漫画の単行本で作者の方の裏話とか合間にあるじゃないですか。
あれが好きで……私もやりたい……のでやります。

漫画本編をまだ読んでいない方はぜひ先に目を通していただけますと幸い。
外伝:糸が切れた日

そもそも紫藤聡市って誰よ!という方向け復習シート
紫藤聡市復習シート

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◆扉絵

漫画はこれまでもチラホラ描いてたものの、そう言えば
扉絵って用意したことないな……描くか……ということで描きました。

クリスタASSETSの藤の花ブラシに大変助けられています。感謝……。
ここは実はp13のしどぴの手をイメージしています。

 

◆p1〜p4

 

いきなり気の毒

10歳聡市くん、かわいいですね。開幕からロクな目に遭ってない。
彼のお祖母様のことも本当はもっと描きたい気持ちがあったんですが、
さすがに冗長になってしまうので泣く泣く削りました。
でも形見のストールのカットだけは根性で捩じ込んだ。

紫藤聡市の良心や優しさを育んでくれたのは間違いなくお祖母様の愛情です。
「聡ちゃんが人に優しくしとったら、いつか絶対それが返ってくるからね」という
お祖母様の言葉がきっと聡市少年の心の支えだったんじゃないかな。

あとめちゃくちゃ余談ですがそこそこ頑張って仏壇を描いたのに
結局半分くらいしか画面に入らなかった……ということで供養です。

ずっとお祖母様のストール抱きしめてそう

 

 

 

奥にすみれちゃんもいる

 

かわいいので吹き出しなしで見てもろて

ティーンしどぴの美しい思い出のターン。
桐真くんとすみれちゃんの名前の由来はどちらも
紫のお花が咲くということで「桐」と「菫」です。まんま。

うん!のすみれちゃんの笑顔がめちゃめちゃ気に入ってます。茂野渾身のスマイル。
このすみれちゃんの後ろに散らしてあるお花なんですが、
すみれちゃんの背景にスミレ科以外の花を散らすことを茂野の魂が良しとしなかったので
突貫でブラシを自作しました。多分二度と使わない。

最後のコマのしどぴの表情なんですが納得いくまで5、6回描き直してます。
素の笑顔ではね、眉が下がるタイプ。
折角なのでトリミング前の姿も見ていってもろて。

 

 

 

◆p5〜p8

 

癒しページが終わってしまった……ここから先もう
(内容的にも作画コスト的にも)つらいページしかない……。

 

 


ネームでの様子

襖バン!のコマのしどぴ、下描きから構図がめっちゃ変わってたりします。
アオリよりフカンの方がなんとなく勢いが良い気がする。

 

 

桐真くん、結構頭に血が上りやすいタイプ。

これはTwitterの方でも呟いてたんですが、桐真くんは親友の紫藤聡市に対して
“自分と同じであるところ”を求めてるんだと思うんですよね。
漫画の中でも書いてある”何もかも違っていたが不思議とお互い気が合った”は、
桐真くんもきっと同じことを感じていて、その”不思議とお互い気が合う”部分が
二人にとって何より大事だったんだと思うわけです。

そんな中で部外者から”自分と親友の明らかな違い・埋められない溝”を
突き付けられてカッとなってしまったのがp6の最後のコマです。
こんなん説明せな誰もわからん。
 
しどぴが胸ぐら掴まれたのって多分人生でこの時だけなんじゃないかな……。

 

 

頑張って声張ってる感じ

で、そんな桐真くんへの反論のしどぴの台詞、「そんな訳ないやろ」と
「そんな訳あるか」で地味に迷いました。後者の方がちょっと勢いが強そう。
でもしどぴは大事な親友にあんまり強い言葉を投げようとはしないよな〜と思ったので
今回は「ないやろ」の方を採用。

 

 

かわいい

こんなブチ切れてる男二人を止めようとしてくれるすみれちゃん本当にすごい。
私なら怖くて無理。

 

 

このすみれちゃんも実はかなり描き直してる

すみれちゃんも本当にしどぴのことが大好きで、彼のことをよく見てくれてます。
だからこそしどぴが秘書の発言を即否定してくれなかったことがショックだった。
即否定しない=秘書の発言は事実=ずっと一緒にはいられない・いつか別れる時が来る
という証明になってしまったということなので。

しどぴの方も即答は絶対できないんですよね、大好きな二人に対して
誠実でいたい子なので。
二人に対して誠実だったがゆえに二人を傷つける結果になってしまった……ってワケ……。
つれぇ〜〜〜〜〜〜〜

 

 

◆p9〜p12

 

まずは激おこティーンしどぴのターン。
ここで「友だちを傷つけたこと」を真っ先に糾弾するあたり
彼が本当に桐真くんとすみれちゃんのことを大切に思っていたことが窺えます。
窺ってください。

 

 

「クソ親父」、彼の人生で後にも先にもきっとこの一回だけしか発していないと思います。

前ページの「そんな訳ないやろ」然り、このコマの叫び然り、
桐真くんとつるんでたからこそ出た勢いなんじゃないかな……。
ちなみにこのお顔もめちゃくちゃ描き直してます。妥協って言葉を知らない人?

あと湯呑みのお茶の量を増やそうと思って直すの忘れてました。

 

 

息子に向かって何やその横暴さは。

でも正直に白状するんですけど、しど過去漫画を描こうと明確に決意したのは
このお茶ぶっかけシーンを絶対に描きたかったから……めちゃくちゃ……楽しかった……。
激烈怒髪天から一気に強制クールダウンさせられる聡市少年が本当に気の毒。

 

 

ここのしどパパの構図もね〜悩みました。
突き飛ばしてからわざわざ目線の高さを合わせるようパパも膝を折る案があって。
煽りよる。
でもここまで見下してる相手に対してわざわざ目線合わせるかな?と思ったので
今回は立ったままでいてもらいました。
結果的には見下してる様子と威圧感が出て良かったんじゃないでしょうか。
いや人として良くはないよ。

あと畳の目は当分描きたくないです。

 

 

めちゃくちゃ描き直したお顔パート3。茂野の魂が右手に妥協を許してくれない。
でも妥協しなかった分やっぱり気に入ってます。

ここのシーンでのしどぴの絶望については後続ページでお話ししようかと。

 

 

◆p13〜15

 

内容に触れる前にあの……吹き出しで無慈悲に隠れた部分を見ていってもろて……
隠れてる部分もちゃんと描きました。覚えな……妥協を……。

 

 

内容に戻ります。

 

 

しどぴ、何に対して本当に絶望したのかと言うとモノローグの通り
“自分の抵抗が無意味だと本当は分かっていた”ことなんですよ。
心の深いところで自分自身の希望ある未来を信じていなかった。

しどぴとしてはそれを打ち破りたい気持ちは持っていた筈ではあるんですが、
残念ながら打ち破れなかった。
打ち破れなかったから回想シーンですみれちゃんの言葉に即答できなかったし、
背を向ける桐真くんを追いかけられなかった訳です。

自分で自分の希望を信じていないまま抵抗する姿のなんと無意味で滑稽なことかと。
父親からそんな愚かな自分を叩きつけられて、
幼い頃から張り詰めていた彼の糸はついに限界を迎えてしまった。

 

17歳に味合わせて良い絶望じゃないんですけど……(ほんまにごめん……)

 

これも我慢できずにTwitterでこぼした話なんですが、
糸が切れてから「しょうもな…」のシーンまでにしどぴの表情を描くかどうかも
非常〜〜〜に悩みました。
顔を描くのが大好きなので気持ちとしては1カットくらい挟みたかったんですけど、
いやここで彼の表情から心情を表に出すのは野暮か、ということで
思い切ってお顔は映しませんでした。

涙を浮かべてるのかもしれないし、自嘲的に笑ってしまってるかもしれない。
この辺はご想像にお任せしたいと思います。

マシュマロで「このシーンが印象的だった」というご感想をいくつかいただけて
大変嬉しかったですね。

あと実はp2の10歳しどぴのシーンに通じるように描いたつもりです。
10歳の頃から何も変わっていなかった、というね。


どちらも月明かりです。

 

 

◆p16〜19

エピローグです。ここまで長かった……。

 

絶対に目を合わせないしどパパ

大学生活の間に髪を伸ばしたことが窺えますね。
本人的には戒めか何かですかね……分からん……。
急に解釈がフワフワになるな……。

 

 


お得意様へのご挨拶のためにええとこのどら焼きをお買い求めになっているしどぴ(25)。
寒さに弱いがゆえ雪がほんまに嫌そうでかわいいですね。言うに事欠いてそれ?

 

 

トリミング前のお顔

描き直しまくったお顔パート4。
髪のツヤベタの正解が本当に分からないんですけどとりあえず
お顔が気持ちばかり美しく描けたので良しとします。

 

 

希望の三つ葉

この締め方もね、個人的には非常に気に入ってます。
作中での希望は無かったけれど、これから先に訪れる紫藤聡市の救いを
感じてもらえたらなぁと。
さも……頑張ろうな!!

 

・・・・・

 

折角なので作業中にゴネゴネ描いていたイメージラフを
いくつか置いておきます。

 


 

 

・・・・・

さらに折角なので作業中に聴いていた曲も載せてみます。
我こそはBGMにテンションを左右されしオタク。

 

・双角の伝承歌/ウタP
紫藤聡市並びにさもしどのことを考える時は
民族調楽曲をよく聴きます。何となくイメージに合う。
メロディが好きでずっと流してたんですが一番のサビの歌詞を
よくよく読んでみて……し、しんど……。

紫藤聡市の性格を考えるに
「いつか父親(あのひと)と和解できるときが来るかも」
「人並みに認めて褒めてくれるときが来るかも」
「小説で描かれるような円満な父と子みたいになれるかも」と
淡く淡く期待してた時期もあったと思うんですよね。
打ち砕かれましたけど…………。

 

・花の唄/Aimer
言わずと知れたさもしどソング。
メンタルががちゃがちゃになります。そんな状態で作業するな。

 

・花帰葬/志方あきこ
こちらもさもしどのことを考える時よく聴いてる曲。
雪が降りしきる中、白銀の路をさ……
ただ二人で手を取って歩いてほしいってワケ……。

 

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喋りたいことをダラダラ書き連ねたらえらい文字数になりました。喋りたがりすぎ。
それはともかくTwitterでもMisskeyでもたくさん読んでいただけて、
ご感想まで頂戴できて本当に嬉しかったです。
演出なども褒めていただけて大変恐縮……改めてありがとうございました!

しどぴと桐真くん、すみれちゃんについては、実は一つ後日談を考えています。
これも折りを見てお出しできたらな〜と……いつになるのか……。
これからも気長に見ていただけますと幸いです。

次はいい加減よもやまの本編、ガンバルゾイ!

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